
2020年大晦日の格闘イベント”RIZIN”のメイン、王者・朝倉海(27)と挑戦者・堀口恭司(30)の注目の一戦は挑戦者である堀口恭司のリベンジで幕を閉じた。

2019年夏に行われた一戦では、挑戦者だった朝倉海が最強王者であった堀口恭司をカウンターで沈め呆気ない凡戦に終わった。
この試合後に、朝倉海は「ほとんどの作戦を出さずに終わった」と言っており、2020年の大晦日でも戦略のバリエーションは豊富にあったはずだ。
しかし今度は、朝倉海があっけなく堀口恭司の前に崩れ落ちた。
Contents
この2020年の一戦をそれぞれの試合後のインタビューや他選手の見解をもとに徹底的に分析してみた。
この試合でまず注目したいのが、両陣営の作戦はいかなるものであったかということだ。
当然、いくつかの戦略を準備し、相手の出方や自分の感触をもとに戦いながら最も有効な作戦を選択していくという流れをお互いに考えていたことは間違いない。
堀口恭司の作戦

まず堀口恭司側では勝因にもなった「カーフキック」戦略をファーストチョイスにしていた可能性が高い。
これまでの朝倉海の試合を入念に映像でチェックし、朝倉海が踏み込んでくるスタイルであること、逆にこれまでの試合ではカーフキックを受けておらず対応の経験値が浅いということも考えていたと言える。
その上に、朝倉海のすらっとした体系を考えた時に、足は盲点であることに気づいたと言える。
朝倉海の作戦
戦後のインタビューで、朝倉海は「ずっと待っていた」と言っていたように、やはりカウンターはずっと狙っていた。寝ることも考慮していたと思うが、朝倉海自身が立っても寝ても自信を持っていたことから、まずはパンチに対しての攻防をいかに制せるかを考えていただろう。
戦前に、「堀口恭司が修正したとしても癖は直せない」とも言っていた。
カーフキックからの勝機とその特徴
改めて、今回の一戦は堀口恭司の「カーフキック」がすべてだった。
試合開始直後の最初のカーフキックで朝倉海はいきなりバランスを崩し、たぶんこの一撃で堀口恭司は「下」は有効と確信したに違いない。
あまりにも力なくバランスを崩してしまった。
そして堀口恭司が放った2発目のカーフキック。
すでのこの2発目で朝倉海の足は半壊していた。
戦後のインタビューで、2発目ですでに効いていたことを認めている。
そして3発目では、すでに足が機能しておらず対処できなかったと言っている。
足は完全に死に、この後は堀口恭司のカーフキックが左足に触れることも嫌がり、かわし続けた。
その後は、朝倉海の苦し紛れの攻撃も堀口恭司には届かず、マウントの後、レフリーストップとなった。
朝倉海の敗因
これは戦後のインタビューから説明しよう。
2発目のカーフキックですでに足にはきていた。
3発目で完全に足は機能不全となり、力が入らなかった。
もらったパンチは効いていなかった。
つまり完全に足を殺されGAMEOVERだった。
カーフキックの有効性
那須川天心のインタビューより。
カーフキックはもともとはMMAで多様されてきた蹴りである。
相手の踏み込み足のふくらはぎを狙う。
この部分は非常に筋肉も薄く、鍛えるのも困難な場所で一発もらっただけでかなり効くと言われている。
そしてこのキックを使う方は限りなくリスクが少ないと言われている。
相手の踏み込み足のふくらはぎは自分との距離が違いため、下がりながらでも距離をとって繰り出すことができる。
相手のパンチの届く距離でもないので、ノーリスクで相手に致命傷を与えることが出来るのである。この作戦を選んだ堀口陣営はかなりの分析力と言ってよい。
このカーフキックをまともに食らわないためにはムエタイのように後ろ足に重心を置くか、最低でも5:5くらいの比重にしないは避けられない。
那須川天心も言っていたように、今後カーフキックはたくさんの試合の中で多様されるようになると分析した。
まとめ
相当なプレッシャーの中での試合を勝った堀口恭司の精神力、冷静さにはほんとうに驚かされる。3戦目の期待がかかる。
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